小学校に通う子どものお宅を訪問する。
藁葺きの壁からは小学校が見え、屋根からは蒼い空がストライプに見え、高床の板張りの床からは地が垣間見える。雨風をしのぐだなんて言葉だけの世界だ。
きしむ梯子をのぼりお部屋にお邪魔する。
何もない部屋。
小さなお鍋に欠けた食器。
洋服という洋服も見当たらない。
隅に置かれた最低限の日用品。
めぼしいものと言えば古びた小さなラジカセ。
必要最低限で暮らしているのではなく
ないのだ。
必要なのにない。
子どもが3人。小学生が2人とハンモックで眠る乳児が1人。40代前半の旦那さんに30代後半の奥さん。地雷によって傷を負った旦那さんは職を失い、治療のために借金をし、表通りにあった家を失い、ひっそりと裏通りのこの土地に自分自身で家を建てたという。自分の畑でわずかな野菜を育て家族5人で暮らす。
二人は言う。
自分たちはもう先が長くない。
子どもたちにはこれから先、
生きていけるように教育を受けさせたい。
想像を絶するのではなくて
想像をすることすら出来なかった。
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