心のどこかでずっとずっと気になっていた場所
そんなカンボジアへ2005年冬に訪れた。
しかもそれは思いがけずにかけられた
『カンボジアに行ってみる?』
という言葉から1ヶ月もしない間に。
日が落ちてから到着したシェムリアップは
まだ肌に吸い付く湿度と気温に包まれていた。
飛行機を降りて空港とは名ばかりの建物に向かって歩く。
灯のない真っ暗な中を恍惚と光を放つその建物へ
見慣れたはずの
でも2倍3倍にも大きな虫たちの洗礼を浴びながら。
空港に入るや否やスコールが降り出す。
乾季の激しい雨。
『珍しい』とガイドも驚きながら傘を差し出す。
心地の良い南国の空気と雨の香りが混ざる。
ホテルへ向かう。
街灯のない真っ暗闇の一本道を進むと
シェムリアップきってのホテル街。
ほんの10年前までは何もなかったというその場所には
今ではお城のような建物が建ち並ぶ。
西洋顔負けのゴージャスなイルミネーションに思わず
『カンボジアでもクリスマスお祝いするんですか?』
と、訊いてしまう。
『これは観光客用。私たちは仏教徒なのでお祝いしません。』
笑いながらそう答えるガイド。
当たり前のことを訊いてしまった恥ずかしさに
返す言葉も見当たらないけれど、
予想していた以上に観光地化され開発され始めていることに
一種のカルチャーショックを覚える。
次の朝
雨に清められて埃っぽさの収まったシェムリアップの遺跡を
巡る。
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